「ICT化、興味はあるけど何から手をつければいいかわからない。」
「高い機材を買って使いこなせなかったら…と思うと、なかなか踏み出せない。」
こんな悩みを抱えている経営者や現場監督、本当に多いと思います。
大手ゼネコンがICT建機やドローンを当たり前のように使っているニュースを見るたびに、「うちには関係ない話だな」と感じてしまう——その気持ち、正直よくわかります。
でも、実際に導入してみてはっきりわかったことがあります。
ICT化は、フェーズを踏んで順番通りに進めれば、中小規模の会社でも必ずできる。
この記事では、うちの会社が実際に歩んできた4つのフェーズを整理してお伝えします。
「明日からフェーズ1を始めよう」と思ってもらえたら嬉しいです。
ICT導入を成功させる「お金とマインド」の話
ケン(若手社員)社長、ICT化って結局お金がかかりますよね。中小企業には厳しくないですか?



確かにタダじゃない。
でも、俺がICT化に踏み切ったときの考え方はシンプルだった。
「これから確実にデジタル化が進む。結果的に失敗したとしても、やる前から諦めるより、まずはICT化がどういうものか知っておきたい!」
それだけだ。



失敗してもいい、という覚悟で始めたんですね。



そう。それに、IT導入補助金という国の補助制度も活用した。
全額自腹じゃなくていい方法を先に調べるのも、経営者の仕事だぞ。
ICT化で一番大事なのは「完璧な計画」ではなく、「まず知る」という姿勢です。
高額な機材を一気に揃えようとするから怖くなる。最初から全部やろうとするから失敗する。
スモールスタートで始めて、現場に馴染ませながら少しずつ次のフェーズへ——この順番を守ることが、ICT化成功の唯一のコツです。
IT導入補助金をはじめとした補助制度も積極的に活用して、まずは一歩を踏み出してみてください。
フェーズ1【入門編】:まず「ワンマン測量」を手に入れる ―杭ナビの導入―



ICT化の最初の一歩って、何がおすすめですか?



うちが最初にやったのは「杭ナビ」の導入だ。
以前はトータルステーションとプリズムを使って、測量に必ず2人必要だっただろ?



はい、1人では絶対無理でしたよね。



杭ナビを使えば、それが1人でできるようになる。「ワンマン測量」だ。人手が少ない中小企業にとって、これは本当に大きい。
しかも2人で使えば、丁張のスピードが劇的に上がる。



最初から順調にいったんですか?



全然(笑)。
最初はベテランから「精度は大丈夫なのか?」「使い方を確認しながらだと逆に時間がかかる」って散々言われた。



どうやって乗り越えたんですか?



機能を絞ったんだ。「位置と高さを出すだけ」——この基本操作に的を絞って、まずそれだけ覚えてもらった。
機能が多すぎると人は拒絶する。
最小限から始めたら、気づいたら現場にすっかり浸透してたぞ。
フェーズ1でできること
杭ナビはスマホ・タブレットと連動するトータルステーションです。
データを端末に入れておけば、画面の指示に従って一人で杭の位置・高さ出し(丁張)ができます。
- 従来2人必要だった測量が1人でこなせる
- 2人いれば丁張スピードが劇的に向上する
- 操作をシンプルに絞ることで、ベテランにも浸透しやすい
- 比較的低コストでICT化の第一歩を踏み出せる
導入の際は、いきなり全機能を使おうとしないこと。
「これだけ覚えれば使える」という最小操作から始めるのが、現場浸透の鍵です。
フェーズ2【データ活用編】:3Dデータを「武器」にする ―設計ソフト導入と高度な測量―



フェーズ1で杭ナビに慣れたら、次は何をするんですか?



次は「データを作る力」を手に入れるフェーズだ。
3D設計データ作成ソフトを導入して、現場で使える3Dモデルを自分たちで作れるようにする。



3Dデータって、作るのが難しそうで…。



最初はそう思う。でも一度覚えたら、測量の世界が全然変わるぞ。
例えば「どこでも丁張(建設システム)」というシステムを使えば、3Dデータを活用してより高度で効率的な測量ができるようになる。
丁張の精度も上がるし、何より「データで現場を管理する」感覚が身についてくる。



フェーズ1との違いは何ですか?



フェーズ1は「道具を使う」段階。
フェーズ2は「データを作って活用する」段階だな。
ここで初めて、ICTが現場の武器になってくる感覚が出てくるぞ。
フェーズ2でできること
3D設計データ作成ソフトを導入することで、設計図面を3Dモデルとして現場で扱えるようになります。
「どこでも丁張」などのシステムと組み合わせれば、3Dデータをもとにした高精度・高効率な測量が実現します。
- 設計データの3D化で測量精度がさらに向上する
- 「どこでも丁張」などを活用した効率的な施工管理が可能になる
- フェーズ3・4への土台となる「データを作る力」が身につく
フェーズ2で作った3Dデータは、この後のフェーズ3・4でそのまま活用します。
ここで質の高いデータを作る習慣をつけておくことが、後のフェーズの成功につながります。
フェーズ3【重機連携編】:重機が「設計面を知っている」世界へ ―杭ナビショベル・GNSS建機の導入―



フェーズ2で作った3Dデータって、次はどう使うんですか?



いよいよ重機に食わせる番だ。
フェーズ2で作ったデータを重機に連携させて、丁張なしで施工できるようにする——これがフェーズ3だ。



丁張なし!?それって本当に大丈夫なんですか?



大丈夫だ。「杭ナビショベル」や「GNSSのマシンコントロール(MC)・マシンガイダンス(MG)建機」を使えば、重機の刃先位置をリアルタイムで把握しながら施工できる。
オペレーターがモニターを見ながら「今どこを掘っているか」「設計面まであと何センチか」を確認しながら動かせるんだ。



熟練じゃなくても、精度が出せるようになるんですね。



そういうことだ。ベテランオペレーターの技術と勘に頼っていた部分が、データでサポートされる。これが「丁張レス施工」の強みだぞ。
フェーズ3でできること
フェーズ2で作成した3D設計データを重機に連携させることで、施工の精度と効率が一気に向上します。
- 杭ナビショベル:杭ナビの技術を応用し、ショベルの刃先位置をリアルタイムで確認しながら施工できる
- マシンコントロール(MC):設計面に合わせて刃先の動きを自動制御。より高精度な施工が可能
- マシンガイダンス(MG):刃先の位置をモニターに表示してオペレーターをガイド。MCより導入コストが抑えられる
- 丁張の設置・撤去が不要になり、工程がシンプルになる
- 熟練オペレーター不足の現場でも、高い施工精度を維持できる
フェーズ4【フルICT編】:現場を「丸ごと3D」で記録する ―ドローン・地上型レーザースキャナーの導入―



フェーズ4まで来たら、もう完全ICT化ですね。何が変わるんですか?



ここまで来ると、現場全体を「面」で記録・管理できるようになる。
ドローンや地上型レーザースキャナー(TLS)を使って、広範囲の3D点群データを取得するフェーズだ。



点群データって何ですか?



現場を無数の点で記録したデータだと思えばいい。
数百万点のデータが集まることで、現場の地形や構造物の形を丸ごと3Dで再現できる。これを使って「起工測量」や「出来形測量」を行うんだ。



出来形管理が、人が巻き尺で測る作業じゃなくなるんですね。



そうだ。
しかも「データで証明できる」から、発注者への説明も格段に楽になる。
「なんとなく合ってると思います」から「データで証明できます」に変わる。これは信頼につながるぞ。
フェーズ4でできること
ドローン測量:工事着手前の起工測量から、施工中・完成後の出来形管理まで、広範囲を短時間で3D化できます。
地上型レーザースキャナー(TLS):ドローンが苦手な狭い場所・屋内・樹木が多いエリアでの計測をカバー。レーザーを四方に照射し、高精度な3D点群データを取得します。
- 起工測量・出来形測量がデータで完結する
- 発注者への説明がデータで証明できるようになる
- 現場の「見える化」が完成し、施工管理の質が根本から変わる
- フェーズ1〜3で培ったデータ活用の力が、ここで最大限に発揮される
フェーズ4もICT建機と同様に導入コストも高く、100%使いこなすには習熟が必要です。
焦らずフェーズ1から積み上げた会社だけが、自然にここに辿り着けます。
まとめ:ICT化は「順番」が全て



4つのフェーズを整理して聞いたら、なんか「僕もできそう」って思えてきました。



それが大事なんだ。ICT化は一気にやるものじゃない。
フェーズ1から始めて、現場が慣れたら次へ進む。
その積み重ねが、3年後・5年後に大きな差になる。
躊躇い続けた会社と、一歩踏み出した会社では、必ず差が出てくるぞ。



まず明日から、杭ナビを使ってみようと思います。



それでいい。千里の道も一歩から。
まず知って、試して、現場に馴染ませる。それだけでいいんだ。
4つのフェーズをおさらいします。
| フェーズ | 内容 | まず何をする? |
|---|---|---|
| フェーズ1【入門編】 | 杭ナビでワンマン測量を実現 | 1台導入して基本操作を覚える |
| フェーズ2【データ活用編】 | 3D設計データ作成・高度な測量 | ソフトを導入してデータを作る力をつける |
| フェーズ3【重機連携編】 | ICT建機で丁張レス施工を実現 | フェーズ2のデータを重機に連携させる |
| フェーズ4【フルICT編】 | ドローン・TLSで現場を丸ごと3D化 | 起工・出来形測量をデータで完結させる |
ICT化に「いきなり完璧」は必要ありません。「まず知る・まず試す」——それだけで十分な第一歩になります。
次回以降の記事では、各フェーズをさらに深掘りしていきます。杭ナビの具体的な操作方法・IT導入補助金の活用方法・3Dデータの作り方——それぞれ詳しく解説していく予定ですので、ぜひ引き続きチェックしてみてください!


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